漁網がなくてよかった 湊港

　バウからの風が吹き込んで肌寒いぐらいだ。入り口は開放しているので岸壁の街灯の灯りが終始眩しい。昨夜寝すぎたので目が冴えている。それでも3時間ばかり寝たか…日付がようやく変わった。
　雨音で目が覚めた。やっぱり降ったか。風は幾分弱まったようだ。カッパを着てデッキに出るが蒸し暑い。そんな航海はまっぴらごめんだ。ゆっくりしようとコーヒーとサラダで朝食。もう一泊ここでのんびりするのも悪くない。
　防波堤で遮られているから港外の様子が分からない。様子をうかがいに出ると淡路島方面には暗雲が垂れ込めている。西側は少し明るい。風向きは全く期待できないが天気は回復の方向に向かっているに違いない。
　さっきまで船体を岸壁に押さえつけていた風が引いている。出よう。

　富島の予定を変更して湊に向かう。
　さっぱり出来高の上がらない機走で5時間，ようやく赤灯が見えてきた。雨に降られるどころか青空が広がっている。一昨日までと違うのはドジャーから身体を乗り出すと上着を羽織りたくなるほどの涼しさだ。
　湊方面だけは少し暗い。ぎりぎりで（雨に）やられるかなと思ったがセーフだった。ここの沖合にはたくさんの漁網が設置されるが，まだ準備中で気を使うこともなく入港できた。
　2年前には前川造船の浮き桟橋に停めた。向かいの岸壁には貨物船が着いているが，船首に30ftヨットなら2艇分，船尾はもっと長いスペースがあるのを確認していた。貨物船は来ていない。岸壁の一番前に着けた。

　昨日，三本松で買った鶏肉があった。親と若いの。オイル焼きにする。やっぱり僕は若鶏の方がいいなあ。黒糖焼酎がどんどん減って行く。風呂に行く前に酔ったらあかん。
　風呂へは歩いて10数分。歩きだしてからちょっと気になったので，ships finderを立ち上げ航海中の本船の動向を確かめた。鳴門でもなく明石でもなく，明らかにこちら，この湊港に向かっている貨物船がある。もしや，あの場所に着岸？港に戻って，奥の岸壁に移動した。舫を取った直後に貨物船が入港して来た。そしてさっきまで僕が停めていた岸壁に。あ〜よかった。

　入浴後，すぐ隣のスーパーで酒のあてを買い足す。
　月見なんて諦めていたが，ハッチから顔を出すとまんまるお月さんが輝いている。

三本松港　09:10
湊港　　　13:50

　空は冴えないがやがて回復の兆し。やっぱり出よう。

　あの雲は雨を降らしているのかな…やがて消えてくれるだろう。

　停めました。前方の前川造船では2隻建造中。タグボートかなあ。

　泉大津の『BlueLagoon』さんによると，瓦運搬船だそうです。翌朝4時にはもういませんでした。

　移動しました。ここなら貨物船も着かないだろう…と思う。

　期待していなかった中秋の名月。短時間だけれども雲が晴れた。