先日からマストグルーブ蓋とスライダーの干渉でメインセールを揚げるのに手間取っている。引っかかるたびにマストとコクピットを往復していが,それは スライダーの数だけってことだ。
港内でもさっぱり風がない。風見は一応バウを指している。舫を解く前にセールを揚げてしまおう…結局それでも数回往復するはめに陥ってしまうのだが。
上りなら遊べそうかなと船首を向ける。オーパイは使用しない。
朝一で出港したのは『東日流』艇だった。近づいてきて,
「この風でも使えるか?」
とウインドベーンの効きを尋ねられる。
「なんとか。」
そう答えたものの,風は情けないほどに弱くなってきた。空はさらに青く高い。
海面には波の様子が観られない。緩やかにたわんでいるだけだ。
エンジンをかけた。漁港(佐野)の方を見ると1艇出てきた。『kouhei II』艇だった。
いかん,いかん,僕ももうちょっと楽しもう。
ペラも回さずにすぐにエンジンを切った。ちょっと先の海面を見ると,さざ波が一面に広がっている。
さっきまでのとろんとした海面が消えて,さざ波が広がった。
しばらく上らせる。艇速は4ノット後半。この風にしちゃ上出来だと思う。
出漁している漁船はわずか。のんびり走るにはもってこいだった。
この後,ジャイブ。セールの陰になると少し冷えるが,ジャケット*もオーバーパンツ*もいらないぐらいの陽気だ。
*未だに山屋の用語が抜けきらない。
港直前までセールでしのぐ。
遊んでばかりはいられない。まだまだやらなければいけないことがいっぱいある。
マストグルーブの上はタイトに,下はルーズにすると,スライダーの引っ掛かりもなくするすると揚がった。
かと言って広げすぎるとスライダーがカム状態になった時に抜けてしまう。
メインハリヤードを揚げる時のキィキィ音が激しい。音がするだけでロープが重く感じられるから不思議だ。マストトップの点検も兼ねて,登った。
古〜いヌンチャクにこれまた古〜いカラビナ。
衝撃荷重はかからないから大丈夫…新しいのに変えておこうかなと思うけれど,やっぱりクライミング用に取ってある。
このアブミも年季が入っているわ。
作業が終わって下りてから大チョンボ。
グリスアップしたシーブに活を入れるために,メインハリヤードとトッピングリフトを引っ張っていたら,(下ろすための)ガイドロープが効いていなかった。
あれよあれよと2本のロープはマストトップに引き込まれていった(シャックルが付いているので,シーブのところで止まっているのだが)。
通常のように,ハリヤードにクライミングロープを連結して登ればよかったのに,横着をして予備ジブハリヤードで登り返したのが間違いだった。
潮,その他諸々の条件でロープがガチガチに硬い。上部3m手前でとうとうアッセンダーが食い込んだまま動かなくなってしまった。棒状のロープは使っちゃいけない。以前失敗したことがあったのにねえ。
ちょうど『COSMO』さんが来てくれたので,援助をお願いした。
ボートフックを垂れているロープの末端に付けてもらい,引き上げて,シーブにぶら下がっているメインハリヤードとトッピングロープを引っ掛けて取る。うまくいった。
さて,このままでは下りられない。同様にテープスリングを引き上げてマストにタイオフする。そこにアブミをかけて(予備の)ジブハリから体重を抜き,強引にアッセンダーを揺すると僅かに動いた。ようやくレバーが開いたのでロープから外すことができた。
やれやれ。
『COSMO』さん,ありがとうございます。この後,拙艇にコーヒーとクッキーを出前してくれました。ごちそうさまでした。
どんな時にでも,スリング類は携行すること。専用のロープ以外では上らないことですね。
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