どんよりとした雲が空一面を覆っている。風はない。『みちしおの湯』の1Fは公衆便所になっているが,昔ながらの和式スタイルしかないのでなかなか苦しい姿勢を要求される。さいわい前面の壁部にがっしりとした取っ手が据え付けられているので,それを握っていればウンチングスタイルをどうにかとることができる。
さあ,行こう。
岸壁からコクピットに降り立つと,さっきは確かにいなかった虫がひっくり返ってもぞもぞやっている。ノコギリクワガタ!指で拾い上げても,立派な角で攻撃してこない。よっぽど疲れているんだ。一晩中こうしていたのかもしれない。気付かなかったのは僕の注意不足だ。もう一度岸壁に戻り,直ぐ側の森に逃してあげた。
伊島の西側を通る。蒲生田岬との間を吹き抜ける風だけがセーリング気分を味わわせてくれる。そこをすぎるとまた風見は不安定にゆらゆらしだした。
遠く牟岐大島が見える。手前の岩肌が顕著な半島の手前を右に転身すると狭い湾口が見えた。
細い水路をゆっくりと走りながら,着岸の準備をしていると,後ろから海保の巡視艇がやってきた。僕のヨットに合わせてゆっくりだから,手を振って先にどうぞと促す。横に並んだときに,海保からコールがかかる。
「そこの岸壁の端っこに職員を下ろすから,停めれば。」
巡視艇は渡船がするように船首を岸壁にくっつけて職員2名を下ろした。おいでおいでの通りに行くと,舫作業をすべてやってくれた。見れば,今年のGWに会った若者だった。ありがとうございます。この後,当然臨検となるわけだが,それはたいしたことではない。ほどなく上司もかけつけてきた。彼もGWに会った人だ。海況を聞く。室戸岬は0.7マイル以上離して通過とのこと。
風呂の後に重い水を運んだらまた汗をかく。とりあえず,近くのスーパーにスパークリングウォーター諸々を買いに行く。缶やペットボトル類はここで捨てる。途中にガソリンスタンドで燃料の補給をお願いする。いつの間にかまどろんでいたが,ガソリンスタンドのお兄さんの声で目が覚めた。ポリタンク3個満タン。燃料タンクに60L,ポリタンク計5個で90L。これだけあれば,なんとかなるだろう。
天気予報通りに夕立がある。土砂降りだ。眼の前の岸壁にも水たまりができる。1時間もすれば止むだろう。やんだら風呂に行く。
まだ雨雲が残っているが一杯やりたくなってきた。案の定途中で土砂降りになる。下校時の小学生がプールバッグを頭に歩いてきた。その前で僕は傘を出した。声をかけて,入れてあげればいいのだが,昨今そんなことをすると変な人扱いされる。僕の子どもの頃は,知らないおじさんがよく傘を差し出してくれた。また,通勤電車内で重たい通学カバンを持っていると,前に座ったおじさんが黙ってカバンを自分の膝の上に乗せてくれた。女子高生にだってそんな行為が普通に行われていた。嫌な世の中になったものだ。
風呂の後は,別のスーパーでもう少し別の食材を買う。いいカツオがあった。
一旦ヨットに戻り,カツオでいっぱいやってから出直す。さて,どこでやろうか。
いい店が見つかった。
適度に切り上げ,ヨットでナイトキャップ。ちょっと横になったら寝てしまっていた。明日は飲み過ぎに注意しよう。
方杭漁港発 05:20
日和佐港着 10:40
とろとろの海。
おいおい,ここには美味しい樹液はありませんよ。
朝はずっとこんな感じで曇っている。
由岐の瀬では漁船がたくさん創業している。
夕立。一旦止んだが,風呂に行く途中にまた降り出した。夏は夕立が正しい。
生きのいいカツオを見たら買わずにいられない。ちょうど手持ちのニンニクがあったのでスライスして一緒に食べると最高。
あるものしかない店ですけれど,ホッとする店でした。
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