天気予報どおり,そしてmy予想どおりの天気で,晴れているが風はさっぱり吹いていない。先月行きそびれた蔵王峠に向かった。
光滝寺キャンプ場を過ぎると路面に雪が残っているし,所々は氷に覆われている。後輪が空転しないように,トルクをかけ過ぎないようにこぐ。自動車の轍の後は圧雪気味で,少々磨り減った後輪タイヤでは走りにくい。できるだけ道の中央の雪が残っている部分を走る。後ろから自動車がやってきた。避けるために自転車を降りると,次の発車が大変でスリップしないように落ち葉や小石の上で静かにペダルを踏まないといけない。意外に早く蔵王峠に着いた。
和歌山側は日当たりが良い。九度山方面に降りようと思ったが,この日当たりが曲者で,昼間,太陽の熱で融けた雪が路面から乾かないうちに日没になると凍り始める。舗装路では地面に水分がしみ込まないので道路はガラスに覆われたようにツルツルになる。
南アルプスの仙丈岳の三峰川,岳沢にアイスクライミングのルートがある。ある年の暮れの山行だが,出合いで一泊し,翌日,大仙丈岳の頂上に立った。山頂でビバーグ,最終日は戸台に降りるだけだからなんてことはない。
下山開始して10mでアクシデントが起こった。右足のアイゼンが外れ(このリジッドアイゼンは僕たちの山仲間でもう3件も脱落例がある!),テラテラの斜面を滑落かと思ったが,左足でエイッと踏ん張ると止まった。その時ボキッと鈍い音が…相棒は「折れたら歩かれへんから,捻挫捻挫。」と呪文を唱える。「うーん,やっぱり折れとるやろな。」と思たが,そんな事言うててもししゃあない。ザックは相棒が背負ってくれた,僕は杖にもならない短いピッケルとバイルでヨタヨタと降りる。北沢峠から登ってきた学生パーティが見るに見かねて,長いピッケルを貸してくれる。本当に有難い。尻餅で滑りながら漕ぐように斜面を降りる。8時間かけてようやく北沢峠に着いた。
年末年始は小屋も営業しているようで,早速もぐり込む。運のいいことにこの年は寡雪で林道が使える。宿の親父さんに頼んで戸台まで乗せていただく。無敵の軽トラの筈だったが,後輪チェーンではハンドルが効かず何度も崖下に突っ込みそうになる。親父もこれではいかんと思ったらしく,前輪にもチェーンをはめることにした。荷台に乗っていた相棒が手伝おうと降りると,アイゼンを履かないビブラムソールは後ろ向きのまま彼を滑落させる。止まろうにも素手で路面を掴んでも虚しく滑るだけ。このままでは,あの先のカーブを曲がりきれずに崖下に転落だ…この山行の核心部はまさにこの林道だった…※へ
かように,アスファルトの路面凍結はオソロシイ。
…なんてことを思い出して,また来た道を戻ることにした。
後輪をロックさせないように前輪ブレーキ中心でゆっくり下りた。途中で滝畑ダムから岩湧寺に向かう。さっきより雪が沢山残っているのは車の通行が殆ど無いからだろう。
蔵王峠から先,堀越観音への道にはたくさんの雪が残っている。岩湧寺はすっかり雪の中だった。(2枚ともピントが甘い…)
※戸台でデポしておいた車に乗り,相棒の住む名古屋まで。名古屋で自分の車に乗り換え大阪に帰った。まだ,夕方だったので近所の外科に行くと,医者が一言,「綺麗に折れとるね。」
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