Saturday, May 04, 2019

あれれっ

 朝までずっとこの調子でとりあえずは小笠原父島二見漁港を目指した。

 いい方法がうかんだ。お馬鹿な僕でもずっと同じことを繰り返していると知恵が湧いてくる。端っこをそれぞれ右・左のウインチにかけたロープをティラーにインクノットで固定する。ウインチをぎりぎり巻くとティラーが少しずつ動くのだ。舵の上部がハルに食い込んでいるから一番出っ張りの大きいセンター部分を越えられない。それを無理やりウインチで移動させるわけだが,バスンという音とともにティラーが反対側に大きく振れる。それでは針路を保てないのでまた少し戻す。いくら戻してもオンコースにはならない。そして戻し過ぎると,またバスンという音とともに反対側にティラーが振れる。修正するためのそんな作業をずっとしているわけだが,まるで延々と続く雪山のラッッセルに似た感じだ。ラッセルと同じで3人いると休憩できるのでそれほどしんどいわけではない。自分の番が終わると,各自のバースでひたすら眠る。ヨットに乗るとどうしても運動不足になりがちだが,上半身とりわけ腕しか使っていないが,適度に疲れるのでぐっすりと眠ることができた。
 明るくなってきた。海況が少し落ち着いてきたので,ようやく上体を折り曲げスターンから覗き込むようにして舵を観察することができた。
 ん?
 揺れてる?
 舵が曲がっている?
 いや,揺れている?
 これってぶら下がっているだけと違うんか?
 脱落するんかいな?それやったらどっかに穴開いてる?
 やばいんかな…
 緊急連絡をしておいたほうがいいのか?inReachで『Wiz of Oz』さんと連絡を取る。
 昨日より恒例となった1時間に1回のビルジチェック後,他の箇所からの浸水も調べるが船体に異常はないようだ。
 さっきよりさらに海がおとなしくなってきた。きれいな青い海だ。この海況なら潜れる。ロープで体をつなぐのは当たり前だが,念のために『Bonanza II』さんにビレイをお願いする。
 海水は温かい。潜ると潮の流れを強烈に感じる。それにしても美しい…ラダーのチェックをするが,堅くスターンに食い込んでいてびくともしない。コクピットで無理やりティラーを動かしてきたが,それによる損傷もないようだ。全くよく動かしてきたものだと思う。スターンに亀裂もない。一安心だ。揺れて見えたのは波のせいだ。
 プロペラを確認するとペラが見えないくらいにホンダワラが巻き付いている。一度では除去できない。4回潜って,やっと取り除いた。ようやくすっきりとシャフトとペラの姿が見えた。
『Wiz of Oz』さんには4時間毎に定期連絡(現況報告・位置情報等)を入れることにした。

5 comments:

  1. ここから陸上も眠れぬ48時間の始まりとなりました!

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  2. それをどこかで記載しようと考えています。
    僕たちよりきっとしんどい思いをされたのではないかと。

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  3. まぁ、その件は・・・許可が出れば自分のところに書こうかなと。

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  4. 私はオーケーですよ。

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  5. では48時間記事書いてみます

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