小笠原父島まで約160マイル。快適に帆走を続けている時に,それは突然…
16時に『Bonanza II』さんとワッチを交代し,僕はAirvaneの角度調整をしていた。右舷バースにいた『Bonanza II』さん曰く,バウで鈍い音がした。それとほとんど同時に僕の手に握られていたのは,根元からザクッと折れたティラーだった。しかもショックなんてなかった。
一瞬のことで何がなんやら分からんが,とにかく予備ティラーは持ってるし付け替えたらすむことや。船内漏水もないし,ビルジもない。ティラーとラダー軸を連結するステンレス金具の根元には折れたティラーの残骸がある。それをマイナスドライバーをタガネ代わりに叩き割り,交換作業に入った。
知らない間に裏ジブになったらしく,しかもウインドベーンのSERVO-PADDLEが上手く抵抗となって勝手にヒーブツー状態を保ち,船体は安定した状態で潮に流されている。
取替えは10分で終了,やれやれや…あれっ?ティラーが動かへんやんか
??
ラダーがスターンの凸部に食い込んどる
???
そうとなると心配なんは,ラダーシャフト受け部FRP損傷による漏水や。
スターンロッカーの荷物を放り出して,後部空間に潜り込んで調べたが,どこにもひび割れ,漏水はない。それだけでも一安心や。
舵がセンターで固定されたま動かへん。潮流はなぜか北に2~3Ktで流れとる。風は…いろいろ試してみたけど,いっちゃん操船しやすいんがジブをたたんでメインだけの機帆走や。
ざんざん降りの雨の中30分交替の二人体制で操船する。
動かないティラーを強引に足で蹴り反対側に移す。それでようやく舵が振れる。どうしても西進してまう。また強引に舵を反対側に移動させる。これの繰り返しや。延々とやっとればいつか夜は明けるやろう。明けたって状況が改善するわけではないんやけどね。明るい方が気分はええし。
破損前までは快適に走り続けたのにね。
少し風が弱くなったので,2ポン→1ポン,しばらくしてから久しぶりにフルセールにした。クローズホールドじゃなければなあ…
これがクジラの顛末だったのですね
ReplyDelete試練と言えば試練。しかし,それを何回経験したって上達はしないだろうなあ。
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