Tuesday, May 07, 2019

普通の岸壁風景

 久しぶりに畳の上で寝たが疲れているはずなのにそれほど深い睡眠は取れなかった。それよりも,夜トイレに起きるたびにグラグラと部屋が揺れているのにはまいった。
 民宿『たつみ』の朝食は美味しい。普段はご飯(米の飯)は食べないが,卵かけご飯の誘惑にめげて3杯も食べる始末だ。女将さんが,小笠原にマスコミが取材に来た時の録画を流してくれる。ようやく小笠原に来たんだという実感が湧いてきた。
『KAIZIN』は宿からすぐそこの場所。昨日のお礼を兼ねて挨拶に行く。本当にありがとうございました。
 散らかったままになっているキャビンの片付けと整備のためにヨットに向かう。民宿の方が,自転車を貸してくれたので助かる。
 昨夕,「また,明日参ります。」との言葉通りに海保小笠原保安署から職員がやってきた。ノートに簡単にメモを取っている。舵を触ってもらう。びくともしない状況に驚いていたようだ。お勤めご苦労さんです。
 小笠原ヨットクラブの菅野さんに,修理の段取りについて電話を入れる。上架施設はないので舵を取り外すためには,(舵を)海中に落とす方法が手っ取り早いようだ。

⛵小笠原父島二見漁港

 エンジンをよく使った。
 オイルとオイルフィルターを交換しておく。

 エンジンのキルスイッチ(ロータリースイッチの下)を出港後すぐに壊してしまった。平時なら気をつけているのだが,ドッタンパッタン揺れる船内では足場が決まらない。知らない間に蹴ってしまったようだ。
 応急処置として木片を付けてガードにする。

Monday, May 06, 2019

小笠原に着きました…やれやれ 小笠原父島二見漁港

 今日も同じような海況だ。
 鈍い色の雲の先にうっすらと島影を発見したのは『Blue Lagoon』さんだった。ようやく父島が見えてきたのだ。あと20マイル強かな。
 その直後,ミシッ,バキッ!島影を見た途端に予備ティラーまで壊れるとは…ここまでよく頑張ってくれたものだ。でも,この先の舵取りに不安が残る。
 何気なくiPhoneを取り出すと,アンテナが3Gを示している。赤の数字マークは?なんと『KAIZIN』の山田さんからの着信履歴が残っている。30分ぐらい前らしい。かけ直してみると見事につながった。心配されていたようで,状況を説明すると,海況も落ち着いてきたので曳航に来てくれるとのありがたい言葉を頂いた。さらにさっきまでの曇り空が青空に変わり始め,波も穏やかになってきた。全てタイミングよく噛み合っているので笑ってしまう。
 
 黄色い船体が近づいてきた。『KAIZIN』の『ISLAND QUEEN』だ。
 舫ロープを受け取る。本当にありがとうございました。

 今晩は,小笠原ヨットクラブ会長の菅野さんが予約してくれた民宿泊まりとする。片付けは明日にしよう。
 岸壁を歩くとふわふわとまるでウレタンマットの上を歩いているような感覚にとらわれる。完璧な陸酔い状態だ。
 宿に荷物を置いて,まずは風呂。お湯も揺れている。
 歩いて街に繰り出す。
 居酒屋でやるが,ビールが冴えない。ずっと汗もかいていないから仕方がないか。それでも生中2杯とはなんたる体たらくだ。『Bonanza II』さんだけは,ウヰスキーを追加していた。
 ゆっくり寝るでえ。

 着岸しました。海保の職員さん,小笠原支庁の職員さん,漁協の職員さん,小笠原ヨットクラブの会長菅野さん,「KAIZIN」の山田さん…沢山の人が岸壁で待っていてくれました。ご迷惑をおかけしました。

 父島入港前にスコールにつかまった。まだしとしとと降っている。

Sunday, May 05, 2019

なかなか着かんね

 今日も昨日と同じ状況でひたすらティラーをしごく…ごめんなさいね。
 あと50マイル強。でも今日中に着きそうもないなあ。
 艇速はよくて3Kt,デイランは40〜50マイルがやっとだ。潮流に絶対に押されているしね。

Saturday, May 04, 2019

あれれっ

 朝までずっとこの調子でとりあえずは小笠原父島二見漁港を目指した。

 いい方法がうかんだ。お馬鹿な僕でもずっと同じことを繰り返していると知恵が湧いてくる。端っこをそれぞれ右・左のウインチにかけたロープをティラーにインクノットで固定する。ウインチをぎりぎり巻くとティラーが少しずつ動くのだ。舵の上部がハルに食い込んでいるから一番出っ張りの大きいセンター部分を越えられない。それを無理やりウインチで移動させるわけだが,バスンという音とともにティラーが反対側に大きく振れる。それでは針路を保てないのでまた少し戻す。いくら戻してもオンコースにはならない。そして戻し過ぎると,またバスンという音とともに反対側にティラーが振れる。修正するためのそんな作業をずっとしているわけだが,まるで延々と続く雪山のラッッセルに似た感じだ。ラッセルと同じで3人いると休憩できるのでそれほどしんどいわけではない。自分の番が終わると,各自のバースでひたすら眠る。ヨットに乗るとどうしても運動不足になりがちだが,上半身とりわけ腕しか使っていないが,適度に疲れるのでぐっすりと眠ることができた。
 明るくなってきた。海況が少し落ち着いてきたので,ようやく上体を折り曲げスターンから覗き込むようにして舵を観察することができた。
 ん?
 揺れてる?
 舵が曲がっている?
 いや,揺れている?
 これってぶら下がっているだけと違うんか?
 脱落するんかいな?それやったらどっかに穴開いてる?
 やばいんかな…
 緊急連絡をしておいたほうがいいのか?inReachで『Wiz of Oz』さんと連絡を取る。
 昨日より恒例となった1時間に1回のビルジチェック後,他の箇所からの浸水も調べるが船体に異常はないようだ。
 さっきよりさらに海がおとなしくなってきた。きれいな青い海だ。この海況なら潜れる。ロープで体をつなぐのは当たり前だが,念のために『Bonanza II』さんにビレイをお願いする。
 海水は温かい。潜ると潮の流れを強烈に感じる。それにしても美しい…ラダーのチェックをするが,スターンに食い込んでいてびくともしない。コクピットで無理やりティラーを動かしてきたが,それによる損傷もないようだ。全くよく動かしてきたものだと思う。船体に亀裂もなく一安心だ。揺れて見えたのは波のせいだ。
 プロペラを確認するとペラが見えないくらいにホンダワラが巻き付いている。一度では除去できない。4回潜って,やっと取り除いた。ようやくすっきりとシャフトとペラの姿が見えた。
『Wiz of Oz』さんには4時間毎に定期連絡(現況報告・位置情報等)を入れることにした。

Friday, May 03, 2019

うへっ

 小笠原父島まで約160マイル。快適に帆走を続けている時に,それは突然…
 16時に『Bonanza II』さんとワッチを交代し,僕はAirvaneの角度調整をしていた。右舷バースにいた『Bonanza II』さん曰く,バウで鈍い音がした。それとほとんど同時に僕の手に握られていたのは,根元からザクッと折れたティラーだった。しかもショックなんてなかった。
 一瞬のことで何がなんやら分からんが,とにかく予備ティラーは持ってるし付け替えたらすむことや。船内漏水もないし,ビルジもない。ティラーとラダー軸を連結するステンレス金具の根元には折れたティラーの残骸がある。それをマイナスドライバーをタガネ代わりに叩き割り,交換作業に入った。
 知らない間に裏ジブになったらしく,しかもウインドベーンのSERVO-PADDLEが上手く抵抗となって勝手にヒーブツー状態を保ち,船体は安定した状態で潮に流されている。
 取替えは10分で終了,やれやれや…あれっ?ティラーが動かへんやんか
 ??
 ラダーがスターンの凸部に食い込んどる
 ???
 そうとなると心配なんは,ラダーシャフト受け部FRP損傷による漏水や。
 スターンロッカーの荷物を放り出して,後部空間に潜り込んで調べたが,どこにもひび割れ,漏水はない。それだけでも一安心や。
 舵がセンターで固定されたま動かへん。潮流はなぜか北に2~3Ktで流れとる。風は…いろいろ試してみたけど,いっちゃん操船しやすいんがジブをたたんでメインだけの機帆走や。

 ざんざん降りの雨の中30分交替の二人体制で操船する。
 動かないティラーを強引に足で蹴り反対側に移す。それでようやく舵が振れる。どうしても西進してまう。また強引に舵を反対側に移動させる。これの繰り返しや。延々とやっとればいつか夜は明けるやろう。明けたって状況が改善するわけではないんやけどね。明るい方が気分はええし。

 破損前までは快適に走り続けたのにね。
 少し風が弱くなったので,2ポン→1ポン,しばらくしてから久しぶりにフルセールにした。クローズホールドじゃなければなあ…

Thursday, May 02, 2019

パソコンが…

 午前零時に『Bonanza II』さんとワッチを交代する。ゆっくり眠ろう。
 突然ピシャッと頬に水しぶきを感じた。ハッチは閉めているし,差し板は下半分だけはめ込んである。ほんの一瞬のことだったが,さっきまで航路を表示していたパソコンの画面が消えている!しまった,キーボードの上にカバーを掛けておくのを忘れていた。全くアホでした。
『Blue Lagoon』さんのパソコンを起動させる。出港した時は2台稼働させていたのだが,充電の様子が芳しくないので電源を切っておいたのだ。出航前に,『Bonanza II』さんのパソコンも予備で積むかどうか迷ったが,やっぱり積むべきだった。パソコンは複数台必要だなあ。

 海況はずっと同じで,スターン側に目をやると大きな波が押し寄せてくるのが分かる。横波を受けないように注意する。コクピットにいる時はあまり感じないが,セティバースで横になっていると相当衝撃を感じるらしい。
 周囲にあるのは海だけ。ずっと波を見ていると時間の経つのを忘れてしまう。夜はその波を見ることができないので少し退屈になってしまうが,どこにも寄らずに洋上にいることがたまらなく心地いい,これがやりたかったのだから。

 待望の夕焼けかな。そういえば星空もさっぱり拝んでいない。

Wednesday, May 01, 2019

やや無線の調子がおかしい

 相変わらずの冴えない天候だが,風があるだけましだし,気持ちがいいセーリングが続いている。ようやく僕の酔いも治まったようで,がぜん食欲が増してきた。
 海況が少し落ち着いてきたので燃料を補給しておく。ゲージはまだ2/3を表示しているが,できる時に早め早めの給油をしておく。なぜか充電の具合が悪いので,夜間はエンジンをペラを回さずにかけている。
 12時前にオケラネットに入る準備をした。
 ?
 オートチューナーからカチャカチャカチャと調整している音が聞こえてくるが,チューニングOKの緑ランプが点かない。何度やっても同じだ。以前港で同じ状況になったのは,無線機後部のコネクタが抜けていたためためで,今度もそれかなと確認するがきちんと収まっている。厳しい海況で波飛沫も半端じゃなかった。ひょっとして海水が機器に侵入したのかもしれない…
 大阪の『Wiz of Oz』さんに状況をGarmin inReach Miniで伝えておく。7MHzバンドでの交信を楽しみにしていたんだけれどなあ。
 ありゃりゃ~今度はGarminの電池が異常事態に陥った。
 充電のために外部から電気を供給していたが,ものすごい高温を発している。これは厄介なことになったぞ。しばらくおいて冷めるのを待つが,どうやら電池がイカれてしまったらしく,充電直後なのにみるみるうちに容量が減っていく。放って置くと10分もかからないうちに空っぽになってしまう。以後,内蔵電池では起動せず,常に外部電源と接続しているときのみ使用可となった…ちょっとめんどくさいなあ。
 
 ずっと何かを食っているが,それに比して酒量が増えたかというとそうでもないのが残念,寒いからビールが冴えないのだ。

 まだまだ薄暗い空だが,これぐらいの明るさになっただけでも気分がいい。このまま晴れていてね…