夜半から風が吹き出した。岸壁側から吹いているので不快なきしみ音は聞こえてこない。ビュービューという音が規則性を持って響きだした。この分では暫く続くようだ。
目覚ましが鳴った?早すぎる。目覚まし代わりに使っているガラケーが勤務日モードのままだった。カレンダーを読み込まない目覚ましはいちいちセットしないといけない。
『ZEQOO』さんははや岸壁にいる。一杯コーヒーを入れてから,他のメンバーを起こす。バスセンターでモーニングだ。
振り返ると雲間から差し込む太陽光線が少し幅を広くして海に落ちている。美しい朝の風景だ。
レンブラント光線。
おきれいなママさんがいます。
まだまだ,いい風が吹いている。止まない間に出てセーリングを楽しもう。往路の泉佐野→洲本へは『ZEQOO』艇に乗ってきたRさんとY子が乗船する。
港内でメインを揚げる。予め2ポイントリーフにセットしてある。出てからジブを展開する。なんだかスムーズに動かない…風はやや向かい風。操舵をY子に任せてミズンを揚げる。ほら風に立てて…さあ,戻して…戻して…ガツッ!???ラットはくるくる回る。なんだかおかしい。ヨットがあらぬ方向に向いているがやがて船首は元のように風に向いた。オーパイも効く。さっきのは何だったんだろう?
「セールダウンしたようやけど何かトラブル?」
と泉大津に向かっている『Blue Lagoon』さんからVHFでコールがかかる。
「いや,大丈夫ですよ,セールも下ろしていないし。」
潮に押されているのか艇速はあんまり伸びない。
ヒールがきついのでメインを下ろす。ジブとミズンだけでも速度はあんまり変わらない。
少し風が弱くなってきた。再びメインを揚げる。
関空島の南側に入ってきた時に,更に風が弱くなってきた。ジブをもっと展開する…展開しようとする…いや,展開できない…Rさんがバウに行く。
「残念です…」
と言ったかなんと言ったか忘れてしまった。フォアステイが根本でポキン,ジブを下ろそうとすると上部もねじ切れていた。慎重に回収して,メインとミズンを下ろす。デスマストしなくてよかった。そしてさっきまでの風はなかったかのような静かな海域だ。
それにしても,朝方の『Blue Lagoon』さんからのVHFはこのことを予期していたのかもしれない。これからは予言者と呼ぼう。
今度は朝の状況が復活した。やっぱり舵はさっぱり効いていない。時折引っかかったかのように舵が動く。ストッパーが外れたのか,ワイヤーが切れたのか…
エマージェンシーティラーをセットする。心棒はビルジ溜まりの蓋を開けたところに寝かせてある。ティラーはロッカーの中だ。
Rさんがいてくれて助かった。テキパキと作業をこなす。本当にありがとうございました。
こんな感じ。
ラットの上部を越えるために,芯棒が異常に長い。
念のため,『IZUMI』さんに連絡をしておく。今のままなら無事に帰港できるだろうが,まだ何があるか分からない。
関空橋を越えた所で『IZUMI』艇が出迎えてくれた。岸壁での助けを要請したつもりだったが,わざわざ洋上で待っていてくれたらしい。お世話をおかけしました。本当にありがとうございました。
岸壁ではヨットクラブの面々が片付けを手伝ってくれる。お世話になりっぱなしの1日だった。
コクピットロッカーを開け,Rさんが潜り込む。チョチョイのチョイでラットが回復した。まさに『Wiz of Oz』艇長!おおきにです。
フォアステイの代わりにジブハリとスピンハリで締め上げていたところをもう一度チェックする。しばらくはこのまま置いておくしかない。早く修理をしないと。
たくさんの皆さまに手伝っていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
洲本港発 08:45
佐野漁港着 13:45
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