なんだか上空が騒がしい,MNに哨戒機が頭上を行ったり来たりしてサーチライトが眩しい,海保だろうか。
通過するはずのタンカーの明かりがぐんぐん近づいてくる。近くを航行中で,ボートで救助を考えているらしく来てくれるようだがこの風と波では無理だろう。拙艇を守るために先ほどからずっと風上にいてくれていたようで,ありがたいことです。
ようやく巡視船が来た(四管区の『すずか』)。以降,頻繁に連絡が入ってくるが,こちらのハンディ機の電池の保ち具合を心配されているようで,定期通信(毎時)に切り替える。救援方法を模索しているとのことだが,この海況ではボートによるピックアップはないだろう。
VHFからは近くを航行中なのだろうか自衛艦『きりしま』から巡視船へ「手伝えることはないか(意味的には)」とのやり取りが聞こえてくる。以後2艇に見守られる。ありがたいことです。
随分経ってから,ヘリによる救助が決定したと連絡がある。ピックアップ予定時刻は8時半。ロープ100mにフェンダー2個を付けて右舷スターンから流す。これを目印に特殊救難隊隊員が降下してくるとのことだ。
ストレッチャーに載せられた『BonanzaⅡ』さんがピックアップされる。まずは一安心で,ヨットは何処かの港に着ければいいのかと思っていたが,僕もピックアップされた。山で救助されたことはないが,パーティーとして(総員が)ヘリにピックアップされることが多いらしいので(僕のピックアップも)同様かなと思う…
艇を離れる時に「沈」をさせるのかと思っていたが何も指示はない。電源をオフする了解だけを取り,スイッチを切った。ここまでずっとAISが動き続けていたことがよかった。
八丈島で給油のために一旦着陸。
機長さんから,
「このヘリに乗る機会は滅多にないことです。後のフライトをお楽しみください。」
とリラックスさせるための言葉をかけていただいた。ありがとうございます。
相模原の北里大学病院の屋上ヘリポートに着陸。大勢が見守っているのは,コロナで離島からの緊急搬送だと思われたらしいからだ。そうじゃないのが分かると皆さん所在なさそうに退散された。お騒がせしまして申し訳ありません。
『BonanzaⅡ』さんはICUに,僕も診察で異常なしだが,ドクターの
「あなたは何故ここに来たの?」
の返答に困る。
ここまでよく保ち続けたiPhoneの電池がついに昼過ぎに空になった。看護師さんが充電アダプタとケーブルを貸してくれた。ほどなく電池マークは100%にはなったが,全てのボタンが使用不可,画面スワイプも効かない。着信通知だけがむなしく画面上に現れる。水洗いして,乾燥・放置がよかったのかもしれない。
病院前のホテルを教えていただき泊まる。
コンビニにはあいにく単三電池の充電セットしかなかったがケーブルが必要なので購入した。またホテルのフロントで充電セット一式を貸してもらった。予備に持ってきた防水ガラケーもさっぱり動かないが,邪魔にならないからと持ってきていた楽天ミニで電話連絡ができた。通信手段の予備は必要だ。iPadはWi-Fi環境では通信できるのでこれでも連絡を取ることができる。
推測が多いので,「ようだ」表現多発です。
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