日の出まではあと10分であるが,待てない私は航海灯を点けて舫を解いた。
風予報ではずっと南風がやや強い。今日は14日で三本松の『しよの湯』は定休日(4と9の付く日)と富島に行く真っ当な理由が揃った。
潮に負けて4kt台が続くが,そのうち鳴門海峡を抜けてくる南風に助けられるだろう。明石の潮が味方してくれるのはおそらく11時以降かな。贅沢を言っちゃいけない。今だって真上りではないのだから。
益々いいじゃないかと,オーパイに休憩いただき本当に久しぶりにウインドベーンに登場願った。出る前にAirvaneをセットしておいたのですぐに使える。
とまぁ調子いいのも束の間でしたが。
明石海峡の東流に引かれてきたので艇速は2ktアップでご機嫌な機帆走だ(途中で風が吹いて落ちたので帆走は中止した)。
難なく富島漁港に着いた。
潮位は今から20cm下がるだけだから楽だね。
飲み屋は夕方からしか開かない。ヨットでしみじみやるかな。
小姓町(山形市)という歓楽街に表側のドアだけが数店並んでいる一角があった。その中の一軒『サンライズ』というスナックに大学1年生の頃は入り浸りだった。ママは僕とさほど歳は変わらない。ある時,ママから
「お客さんと外で飲んでから(同伴で)店に入るから適当にやっといて。」
と店の鍵を渡された。酒屋に注文を入れ,さて次は「お通し」を用意しないといけない。その時に「お通し」として作ったのが「だし」である。
さて,店を開けてすぐに明らかに玄人のお姉さんが入店された。
「ジンライム」
グラスを間違ったらしい。お姉さんは優しく指摘してくれた。
「ママは?」
「後から来ます。」
「そう…」
「(ママ年)幾つ?」
「24だと思いますす。」
「そう,若いのね。」
お姉さんだって相当若いのに…
しばらく沈黙が続いた。こりゃやばいぞ…
「死にたい…」
聞こえないふりをして,僕はただひたすらおしぼりを丁寧に巻いていた。
とまぁ「だし」にはかくなる思い出があるわけですね。
16時から開いている『志田』へ。
女将さん,おおっ!米寿だってさ。いつまでもお元気でね。
小豆島草壁県営公営桟橋 05:45
富島漁港(淡路島) 12:45(38.51NM)
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