何もないけどよろしい十六島漁港　温泉津港〜十六島漁港-風待ち　よじ　攀丸

　静かな夜だった。そういやこの泊地，小鳥のさえずりが聞こえないと思っていたが，夜半，ホゥホゥという鳴き声だけがしていた。

　ガーリックトーストに乾燥パセリがこのところのお気に入り。

　今日は全く風が期待できないが，メインセールさえばたつかなければ文句は言わない。

　日御碕を回り込むまではわずかながら潮に味方されて快適に進んだ。

　停めようとした岸壁にロープが垂れていたので，少し先，（旧）小学校前の岸壁に舫った。

　そこに船外機ポートが近づいてきた。ここはダメだよと言われるのかと思ったが，去年知り合った漁労長のHさんだった。

「こんにちは。」

　今から潜水作業らしい。お気を付けて。

　ビームアンカーを入れる。

　水深は充分ですね。

　離しておくと夜も快適ですね。

　思ったより作業が早く終わったと，先ほどの漁労長Hさんが，ビールとアテを持ってきてくれたので早速やり始める。このフキの梅酢漬けがたいそう美味くてあっという間になくなってしまった。ごちそうさまでした。

　岸壁から誰かが声をかけてくる。

「こんにちは，お邪魔しています。」

　気さくに話しかけてきたので近所のおっちゃんかと思って喋っていたが，先ほど拙艇の前に着岸した税関監視艇『おき』の船長さんだった。本船の船乗りさんとも知らずに失礼をいたしました。しばし，雑談。勤務中ゆえ一杯いかがとはいかないのが残念だ。税務署も船を保有しているとは初めて知ったことだ。

　神社へのお詣りは欠かさない。

　昨年はこのバスで町まで出かけた。気分転換によろしいね。

　航行中ずっとこの地域の雷予報が流れていたがなんとか遭わずに到着できてよかった。先ほどから雷鳴が聞こえるし，山側が時折光っている。雨が降っていないのは海岸沿いだけなのかもしれないね。

温泉津港発　　05:10

十六島漁港着　11:20（32.84NM）

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